DTMer・ボカロPにとって、適切なモニターを選ぶことはDTM作業効率を最大化するために不可欠です。しかしモニターを選ぶポイントとしてインチ数・解像度・リフレッシュレートなど聞き慣れない複数の要素がでてきます。
本記事ではDTM向けに作業効率とコスパを意識した最適なモニターの選び方を解説していきます。
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1102(ひとつ)
2022年8月「ヒトツノオト」でデビューしたギター歴10年以上のボカロP。
バンドサウンドを主軸とした楽曲を制作。
ニコニコ動画、YouTubeに楽曲動画配信中。
結論 = フルHDでOK!後はサイズだけ見れば良い!
先に個人的な結論です。聞きなれない言葉が飛び交うかもしれませんがそれらは次項から詳しく解説していきます。
結論は「解像度はフルHDでOK、後は配置する環境に合わせたインチ数のモニターを選ぶ」です。リフレッシュレートはDTMでの使用用途としてはあまり気にする必要はなく、一般的な60~100Hzのものを選択すれば問題ありません。
例外として「動画編集も本気でやっていて4K素材まで扱う!」という方はWQHDや4Kモニターを検討する必要が出てきます。しかしその動画編集がボカロMVのようなアニメーションにおいてはフルHDで問題なく作業できる場合がほとんどです。

僕も昔は自分でMV作成をしていたけどフルHDで問題なくできてたよ。
また、解像度が上がるにつれてPCのスペックも高いものが要求されます。合わせてモニター購入にかかるコスパ面を考えるとフルHDが最適ではないかと個人的には思っています。
とは言え、後から後悔しないようにディスプレイの基本要素は知っておいた方が良いでしょう。以下で解説するモニター選びの基本要素を参考に、ぜひご自分に合った最適なモニターを選んでください。
モニター選びの基本要素
DTMはトラックやミキサー、プラグインなど複数の項目を画面に表示させ行います。そしてトラック数が多くなればなるほど画面領域が増えます。
10トラック前後であれば小さなモニターでも作業上問題ありませんが、30トラックを超えてくると一度に表示できる情報量が少なくなり、スクロールの回数や距離が増えます。結果、DAWの視認性や操作性が悪くなり制作の効率が悪くなってしまいます。そのため、DTMerにとって最適なモニターの選定は作業効率や制作の質に大きく影響すると言えるでしょう。
今現在ノートパソコンを使用している方も横にもう1枚モニターを配置することで画面の表示領域が増え、作業効率の向上が見込めます。実際に僕もそのようにDTMをしていたことがありますが、「ノートパソコンにトラック画面、外部モニターにミキサー画面」といったことも可能となりとても便利です。

作業効率向上のために超大型の4Kモニターを買おう!!

効率は上がるかもしれないけど高いよ...。
確かに大画面4Kモニターがあれば一度にたくさんのトラックやプラグインを表示できて便利そうです。が、何も考えずとにかくハイスペックなものを!という考え方で選ぶとコスパが悪い上に作業効率が悪化する可能性も出てきます。
まずはモニター選びの基本要素を抑え、自分に合った最適なモニターが何かを見極めましょう。
サイズ
DTM環境のモニター選びでまず一番重要視するべき要素は画面のサイズです。画面サイズはインチ数で表記されます。このインチ数が上がれば上がるほど画面サイズが大きくなり、同時に価格も上がっていきます。ちなみにこのインチは画面の対角線の長さを計測した値です。
極論、大きければ大きいほど表示領域が多くなるため作業効率の向上が見込めます。巨大なスタジオと富がありどんなサイズでもおけるような環境をお持ちの方はそうするべきでしょう。しかしDTMをする方は僕も含め、自室の一角にデスクを配置する方が多いと思います。悲しい現実として選べるモニターの最大サイズは自ずと決まってしまいます。
一般的なサイズのモニターとして以下のようなものがあります。

インチ数 | 横幅 (cm) | 縦幅 (cm) |
---|---|---|
21.5インチ | 48 cm | 27 cm |
24インチ | 54 cm | 30 cm |
27インチ | 60 cm | 34 cm |
32インチ | 71 cm | 40 cm |
43インチ | 96 cm | 54 cm |
※商品によって表記されている縦横幅は異なります。あくまで目安としてください。

僕の机は120cmだから...43インチが買えるね!
というわけでもありません。DTM環境においてデスク上にはモニターの両サイドにスピーカーを配置するのが一般的です。スピーカーの横幅とデスクの奥行きから見るリスニングポイントを考え、選ぶ必要がでてきます。
とは言え、「趣味の範囲だしリスニングポイントまで考えるのはちょっと...」という方も多いと思います。そういった方はモニタースピーカーを両サイドに斜めに配置できるサイズから考えるだけでも良いかもしれません。現在モニタースピーカーを使用していない方も、将来的に配置することを考慮したモニターサイズを選ぶことをおすすめします。
また、上記に挙げているモニターはアスペクト比が16:9という一般的なワイドモニターと呼ばれる規格ですが、21:9のウルトラワイドモニターという規格のものも存在します。
僕は2画面構成でDTMをしており、ワイドモニターとウルトラワイドモニターを使用しています。僕のDTM環境のデスクツアー記事を作成していますので、興味のある方は以下の記事からご覧ください。ちなみに僕はPC歴は長くいろいろなサイズのものを使用してきましたが、DTMで初めてウルトラワイドモニターを使用しました。結果、最高でした。超おすすめです。
解像度
解像度はモニター画面に表示されるピクセル数(画素数)を指し、表示される画面の鮮明さ・情報量に直結する要素です。解像度は低い順にフルHD<WQHD<4Kで、高くなるほど画面の鮮明さが上がり、価格も大きく上がってきます。

¥あと電気代も上がるね¥
主な解像度の種類として以下のようなものがあります。

種類 | 解像度 | 説明 |
---|---|---|
フルHD | 1920×1080 | コストパフォーマンスが良く、幅広く使える |
WQHD | 2560×1440 | 作業スペースが広がり、効率的な作業ができる |
4K | 3840×2160 | 非常に高精細で、プロ向けの作業に最適 |
上記表の解像度の数値は、画面に配置されているピクセルという点の数を示しています。
フルHDなら横に1920個、縦に1080個の点が並んでいるというイメージです。これが4Kだと横に3840個、縦に2160個となり、それぞれ2倍になります。縦横の両方が2倍になるため、全体のピクセル数はフルHDが1920×1080=約207万画素なのに対し、4Kは3840×2160=約829万画素となり、約4倍の差がでてきます。これにより、より細かい情報を表示できるため、4Kだと映像や文字の輪郭が滑らかになり、より鮮明に見えるようになります。

ということは4Kモニターを買えば高画質で最高のDTM環境が整うね!
と、思いがちですがここで注意点があります。
4Kにすることで、フルHDと比べ画面に表示できる情報が約4倍に増えます。逆にいうと文字やアイコンが1/4の大きさになってしまうということです。DTMにおいて使用する一部の古いソフトウェアやプラグインは高解像度対応がされていないものもあり、正しく表示されないこともあります。
これらの対策としてスケーリングを150%や200%といった具合に調整することで視認性が改善されます。しかしこれをしてしまうと4Kの意味は...となってしまいます。作業効率改善のために4Kモニターにするのであれば、プラグインなどが小さく表示されても視認性を損なわない32インチ以上のものを置ける場合に検討対象にする方が良いかもしれません。
ちなみに僕が使用しているウルトラワイドモニターは上記に含まれないWFHDと呼ばれる種類で、解像度が2560×1080です。上記の表を見てわかる通り、フルHDが1920×1080なので縦幅は同じです。このことからウルトラワイドモニターは「フルHDの解像度をそのまま横にびよーんと伸ばしたもの」ということがわかります。難しく言うと通常のモニターのアスペクト比が16:9なのに対しウルトラワイドモニターのアスペクト比は21:9ということになります。
もちろんWQHD、4Kに対するウルトラワイドのものも存在します。もちろんその分超高いけど。
リフレッシュレート
リフレッシュレートは、モニターが1秒間に画面を何回更新するかを示す数値で、映像の滑らかさに影響してきます。ゲームをする方や映画を見たいという方はこれらを重要視する方が多いです。しかしDTMにおいてはあまり影響がありません。
ひとつメリットをあげるとすると、リフレッシュレートが高いモニターはちらつきが少なく目に優しい=長時間作業においての目の疲れを軽減させてくれます。
リフレッシュレートは単位がHzで、30Hz~500Hz以上と幅広く存在します。一般的な作業においては60~100Hz程度あれば十分、FPS等動きの多いゲームをする場合は150Hz程度あれば快適と言われています。
DTMは動きの多い作業は特になく、一般的な作業に必要な60~100Hzあれば十分でしょう。アナライザー付きのプラグインのように動きがあるものもありますが、そこまでのリフレッシュレートは必要ありません。

目の疲れの軽減を気にするのであれば、DTM作業に限って言えばリフレッシュレートを上げるよりもブルーライトカット機能付きを選ぶ方が良いかと思います。
DTMに使用するモニターの選択基準
ここまでのモニター選びの基本要素を踏まえ、DTMで実際に選択する基準を見ていきます。記事冒頭に書いた通り、DTM作業においてのおすすめモニターは以下の通りです。
- サイズ:デスクサイズに合ったもの
- 解像度:フルHD
- リフレッシュレート:60~100Hz
サイズに関しては23インチ以上、できれば27インチがおすすめです。DTMにおいて21インチ以下のモニターは表示領域が狭く、とても作業がし辛いです。対して32インチ以上になると逆に視線移動が増え作業効率が下がる可能性もあります。
しかしモニタースピーカーのリスニングポイントの観点から、デスクのサイズや自身が立つ位置に合わせる必要があります。そのためDTMにおけるモニターサイズは全ての人に対してこのサイズがおすすめです!とは一概に言えません。
前提として、この記事を見てくださっている方のほとんどは僕と同じ趣味でDTMをされている方だと思います。もし「趣味でしているDTMに使うモニターに関してそこまで気にする必要があるの?」と聞かれると

別にそこまで気にしなくて良いんじゃない?とりあえず29インチウルトラワイド快適だよ。
と、答えます(笑)デスク上にスピーカーを配置し、その間に入るモニターを選ぶだけでOKです。なんなら僕は以前横並びデュアルディスプレイにしたことでデスク上にスピーカーが置けなくなっていまい、デスク横にスチールラックを設置しその上にオーディオ用スピーカーを置いてDTMをしていました。それで良いのです、趣味ですから。

ですが、もし「音を正確に拾い正しくモニタリングしたい」と考えているのであればリスニングポイントは避けて通れません。そのためにも以下のような点を基準にモニターを選択してみてください。
また、この記事はモニター(ディスプレイ)の選び方なので、壁からの距離や詳しいリスニングポイントの解説については割愛します。
DTMにおけるリスニングポイントについて僕は以下のサイトを参考にしました。もし詳しくリスニングポイントについて知りたいと言う方はぜひ参考にして見てください。(当ブログでもそのうち解説したいと思っています)
モニターサイズの選択基準
リスニングポイントを意識したモニターサイズの選択基準は[デスクの幅][デスクの奥行き][リスニングポジション(自分の位置)]です。ここからは僕の環境を例に見ていきます。
まずデスクサイズは、
・幅:180cm
・奥行き:80cm
です。これは75インチ程の大きさのモニター(横幅:約167cm)を配置できるサイズ感です。しかしそうすると横にモニタースピーカーが配置できません。
リスニングポイントを意識したモニタースピーカーのセッティングとして
・各スピーカーとリスニングポジション(自分の位置)が正三角形になるように配置
・モニタースピーカー前面がモニター(ディスプレイ)よりも前に来るように配置
といったことが推奨されています。実際はこれ以外にもありますが、モニター(ディスプレイ)の設置と関わってくる要素はこのあたりです。
これらを満たすものとして僕が選んだモニターは29インチウルトラワイド(横幅69cm)です。このモニター横にスピーカーを配置するとスピーカー間が100cmとなります。僕が机の前に立った場合、各スピーカーとの距離は約95cmなので、少し後ろに下がれば推奨されているモニタースピーカーのセッティングが実現されます。

このようにディスプレイサイズを選んでいくとリスニングポイントを意識したモニター選びができます。
解像度とリフレッシュレート
リフレッシュレートと解像度に関しては、大きくなればなるほど要求されるPCスペックとモニターの金額も大きくなっていきます。DTMにおいて高リフレッシュレート・高解像度のディスプレイを選んでも作業効率の向上は限られるため、正直コスパが悪いです。
ただし近年は「フルHDでは小さすぎるからWQHDがおすすめ」といった話も聞きます。目的がweb検索のみだったり動画や写真編集などのクリエイティブな場合はその通りだと言えますが、DTMに限って言えばそうでもありません。むしろ1画面に多くの情報を詰め込まれていることが多いDAWやプラグインでは文字が小さく表示されることで見辛いなどの問題も出てきます。
DTM以外にもゲームがしたいのであればリフレッシュレートを意識する必要があったり、動画編集がしたいのであれば解像度を意識したりする必要が出てきます。しかしDTM用という目線で行くと、これらは特に意識せずコスパの良いフルHDの60~100Hz程度のものを選べば問題ありません。
最適なモニター選びで快適にDTMをしよう!

以上がDTMにおけるモニターの選び方です。DTM作業に最適なモニターを選ぶことは作業をスムーズにし、効率を向上させる上で重要なポイントです。
ちなみに上記画像の上画面が27インチのフルHD、下画面が29インチのWFHDです。開いているDAWはLogicです。これを見ればフルHDでもトラック、ミキサー、プラグインともに見やすく表示されるのがわかるかと思います。
ただあれですね、この写真を撮ったのは2年近く前なので今見るとEQでローカットのしすぎが気になります。
本記事で紹介したモニター選びの基本要素やサイズの選択基準を参考に、ぜひご自身の作業スタイルに合った最適なモニターを選び快適なDTM環境を手に入れてください。
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