近年、音楽業界において「ボカロP」という言葉を聞くことが多くなりました。
考える人ボカロPって確かによく聞くけど、どんな人なんだろう。



合成音声を使ってオリジナル楽曲を制作するクリエイターのことだよ。
この記事ではボカロPの特徴について、現役ボカロPが詳しく解説していきます。
- ボカロPの特徴と活動スタイル
- VOCALOID以外の合成音声を使った場合
- ボカロ(広義)とは?
ボカロPとは?





ボカロPは何をする人なの?



合成音声を使って楽曲を作る人たちのことだよ。
"ボカロP"という名称の意味



ボカロPの"P"て何?



"プロデューサー"の頭文字のPだよ。
ボカロPは、「楽曲制作から発表まで幅広く手がける」ことから、VOCALOIDの略称である"ボカロ"にPを付けた名称で呼ばれるようになりました。
読み方は「ボカロピー」です。
また、ボカロPが出始めた当時、ニコニコ動画では『アイドルマスター』が流行していました。
このゲームプレイヤーを「プロデューサー」と呼ぶ習慣があったことに由来し、ボカロ楽曲製作者も「ボカロP」と呼ばれるようになったそうです。
個別に名乗るP名
ボカロPをしている人は、個別にP名を持っている人がいます。



P名って何?



ボカロPとしての活動名のことだよ。
P名は、「(任意の名前)P」のように表記されます。
僕のイメージだと「P名は視聴者が付けるもの」という印象ですが、最近は自ら名乗ることも少なくありません。
無理にP名を名乗らなくても問題ありませんが、SNSで"〇〇P"のような名前の方がいると「この人はボカロPなんだ!」と認知しやすいです。
そういった意味では、P名を名乗った方が良いかもしれません。
僕は"1102(読み:ひとつ)"という名前で活動しており、P名は持っていません。
SNSでは「ひとつ(1102)⭐️ボカロP」と表記し、ボカロPであることがわかるようにしています。
ボカロPになるには



ボカロPにはどうすればなれるの?
ボカロPになる方法はとても単純で、VOCALOID等の合成音声を用いて楽曲を制作することです。



パソコンと合成音声ソフトさえあれば今すぐにでもなれちゃう。
ボカロPになる方法についてわかりやすくまとめた記事もありますので、ぜひ合わせてご覧ください。


VOCALOID以外の合成音声を使う場合


十数年前は、「合成音声ソフト = ボカロ」と言っても過言ではありませんでした。
しかし、最近はボカロ以外の合成音声ソフトが多く販売されています。



ボカロ以外の合成音声ソフトを使うとボカロPを名乗れないの?



そんなことないよ。
ボカロP = 合成音声を用いて楽曲を制作する人
ボカロを用いて楽曲を制作する人のことを"ボカロP"と呼びますが、
- CeVIO AI使い:チェビオP
- Synthesizer V 使い:シンセブイP
といった表現はしません。



CeVIO AIやSynthesizer V を使ってる人も、ボカロPを名乗っているよ。
ボカロPは、「合成音声技術を用いて楽曲を制作するクリエイター全般を指す言葉」という認識でOKです。



合成音声ソフトを使って楽曲を作れば、ボカロPを名乗っていいんだね。
ボカロ(広義)とは?
近年、VOCALOID以外の合成音声ソフトを使うボカロPが多くいます。
僕の周りでは圧倒的にSynthesizer V ユーザーが多く、VOCALOID最新版である6のユーザーはあまり見かけません。



ちなみに僕はずっとVOCALOIDユーザーだよ。
"合成音声 = ボカロ"という概念は崩れた
多くのボカロPがVOCALOID以外の合成音声ソフトを使うようになったことで、「合成音声ソフト = VOCALOID」の概念は崩れているように思えます。
もちろんこれは悪い意味ではなく、「VOCALOID以外の選択肢ができたことでより表現の幅が増えた」と捉えられます。
しかし、この十数年で"ボカロ"という単語は「合成音声ソフトを指す言葉」として強く根付いています。



実際、合成音声に詳しくない人からしたら全部ボカロだよね。
そのため、合成音声ソフト全般の総称として"ボカロ(広義)"と表現されることが多くなりました。
ボカロ楽曲投稿祭の参加条件
ボカロ界隈では、定期的に"ボカロ楽曲の投稿際"が開催されます。
イベント名として「ボカロ〇〇投稿際」のように付けられることが多いですが、その参加条件には以下のように記載されています。
ボカロ(広義)を使用した楽曲
VOCALOID含む合成音声ソフトを使用し制作された楽曲



つまり、VOCALOID以外の合成音声ソフトでも参加できるってことだね!
ボカロ=合成音声ソフトという認識でOK
僕はSNSを通し、日常的にボカロPの方と交流させていただいています。
しかし、その会話においてボカロ(広義)と表現することはほとんどありません。
やや語弊を生む発言かもしれませんが、話し言葉として「ボカロ = 合成音声ソフト全体を指す」という認識で良いでしょう。
ボカロPの特徴5選


次に、ボカロPの特徴5選を見ていきます。



ボカロPは一般的なアーティストと違う点がたくさん!
個性的な音楽スタイル



ボカロ楽曲ってどんなジャンルの音楽なの?



作り手の個性によって様々だよ。
ボカロ楽曲はさまざまな音楽ジャンルが混在
"ボカロ"という音楽ジャンルは、その名の通り"合成音声を使用した楽曲"という共通点があります。
しかし、その中身を見ると、
- ポップスやロックなどのJ-POP
- ヒップホップやEDMなどの電子系音楽
- 動揺や演歌などの伝統的な音楽
このように、さまざまな音楽ジャンルが混在しています。
さまざまな表現が可能
ボカロ楽曲は「合成音声を使用した楽曲」といった点以外に縛りはなく、基本的に自由です。
DAWを使用し一人で楽曲制作を行うことが多いため、独自の音楽性や世界観を自由に表現することが可能です。



ちなみに僕は最近、ロックを基盤にいろいろなジャンルを混ぜた曲を作ってるよ。
\1102の楽曲はこちら/
スキルに左右されない楽曲が作れる
基本的に、楽曲を作る際は演奏者や歌唱者のスキルや音域に合わせて作る必要があります。
一方、ボカロを用いた楽曲制作ではそういったスキルに左右されません。
演奏スキルに左右される音楽
バンドとして活動する場合、メンバー全員の演奏スキルを基に曲が作られます。
例として、僕はギターは弾けますが"高速速弾き"といったフレーズは苦手、というか情けないことに弾けません。



カッティングが好きで、ずっとそればかり練習してたから速弾きはできない...。
そのため、僕がバンドを組みバンド活動する場合、「高速速弾きフレーズの入った楽曲はちょっと勘弁してほしいかなぁ」と思います。



練習すればいいだけじゃん。



はい、その通りです。
音域の制限
日本の音楽は"歌うこと"を第一に考えられることが多いです。
そのため、ほぼ全てのJ-POPは歌唱者(ボーカリスト)の音域を基盤にメロディが構成されています。



あまりに声が高すぎると歌えないもんね。
一方、ボカロには公式による推奨音域はあるものの、音域の制約をほとんど受けません。
さらに、"デスボイス"といった特殊な表現も、コツを掴めばボカロで簡単に再現できます。



この曲は符色でデスボイスを再現しているよ。
※途中から始まるため、音量に注意してお聴きください
DTMスキルは必要



演奏スキルも歌唱スキルもいらないなら、誰でも簡単にボカロPになれそうだね!



実は "DTM"っていうすごく難しいスキルが必要。
DTMの難しさについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてごらんください。


※ギターは弾けた方が有利
DTMによる楽曲制作は、打ち込みだけで完成させることが可能です。
しかし、ボカロ楽曲で頻繁に使用される"ギター"に関しては、打ち込み感が強く出てしまいます。



ドラムやベースは自然に打ち込めても、ギターだけはどうしても違和感が出ちゃう。
そのため、「他は打ち込みだけどギターだけは録音する」というボカロPも少なくありません。


SNSを通じた活発なコミュニティ
ボカロP活動はパソコンがあれば完結するため、SNSとの親和性が高い分野です。
そのため、SNS上では活発なコミュニティが形成され、ボカロ楽曲の発表や交流が行われています。
ボカロPの活動を支えるニコニコ動画



ボカロ楽曲といえば、ニコニコ動画だよね。
2025年現在、多くの人が使う動画共有サービスはYouTubeです。
しかし、多くのボカロPが活動の拠点としているのは"ニコニコ動画"です。



これは、ボカロ初期の楽曲から変わらずだよ。
独自の文化とイベント
ニコニコ動動画には独自の"コメント文化"があり、ボカロP同士が楽曲を聴き合いコメントを通じての交流が行われています。



気軽にコメントできる感がいいよね!
また、ニコニコ動画上では"The VOCALOID Collection(通称:ボカコレ)をはじめとした様々なボカロ楽曲の祭典が行われています。



ニコニコ動画がイベントをサポートしてくれることもあるよ。
こういった独自の文化やイベントによる交流は、ボカロPの活動を大きく支えてくれています。
SNSを通じた交流
ボカロP同士の交流はニコニコ動画だけでなく、X(旧Twitter)でも活発です。
ニコニコ動画では楽曲を通した交流ですが、Xでは技術や知識の共有から雑談といった交流が日々行われています。
また、ボカロP数名がチームを組み、それぞれの得意分野を生かし一つの楽曲を作り上げるコラボもよく見られます。



コラボはすごく楽しい上、勉強になることもたくさん!!
イラストを使用したMV



ボカロ楽曲っていえば、イラストを使ったMVだよね。
ボカロPは、楽曲に合わせてイラストを使用したMV(ミュージックビデオ)を制作することが一般的です。



最近は3Dモデルを使ったMVも多くなってきたよ。
ボカロ作品=イラスト・MVを含めた作品
楽曲配信だけ行なっているボカロPもいますが、多くは"イラストやMVを含めて自身の作品"という考えです。
しかしこれには賛否両論あり、「動画ではなく楽曲だけで聴いてもらいたい」というボカロPも多くいます。



楽曲を作る立場とすると、わからなくもない。
とはいえ、ボカコレなどのイベントに参加しようとすると動画として投稿する必要があります。
そういった意味では、"ボカロ作品 = イラスト・MVを含めたもの"といった考え方は、今も根付いていると言えるでしょう。
ボカロ作品は共同作品



でも楽曲を作ってイラスト・MVまで作るなんて大変すぎない?



外部に依頼しているボカロPもたくさんいるよ。
ただでさえ難しい楽曲制作をした上で、イラストを描いてMVまで作ることはとても大変です。
そこで、
・楽曲を制作するボカロP
・イラストを描く絵師
・動画制作を行う動画師
これらが一体となり、1つの作品を作りあげることが多いです。
それぞれが得意分野を担当するため、より完成度の高い作品作りが可能となります。
コラボを除き、ボカロPが絵師・動画師に"依頼する"という形が多いです。
多くの場合、これは"有償での依頼"となります。
インターネットを活用した音楽スタイル
ボカロPの音楽スタイルは、基本的にライブ活動ではなくネット上への動画投稿です。
"インターネットを活用した音楽スタイル"も、ボカロP活動の特徴といえます。
従来の音楽活動におけるインターネット活用方法
従来の音楽活動の本質は、「演奏を直接届けること」です。
CDやテレビを通してアーティストを知り、コンサート(ライブ)に足を運び音を直接感じることが一般的だったと思います。



でも最近はバンド活動でもSNSを使って活動しているよね。



それはあくまで"宣伝活動"。
2025年現在、インターネットを活用した音楽スタイルは珍しくありません。
しかし、その多くは「楽曲を知ってもらいライブに足を運んでもらうための宣伝活動」です。
ボカロP活動はネット上で完結
ボカロP活動は、基本的にネット上だけで完結します。
多くのボカロPの最終地点は、演奏を直接届けることではなく「動画配信サービスにMVを投稿し見てもらうこと」です。



もちろん、ボカロP活動を通してライブををしたりリアルイベントに参加することもあるよ!
"宣伝活動"としてインターネットを活用するのではなく、「ネット上での活動そのものがボカロP活動」というのも大きな特徴です。
再生回数が実績になる
バンドの活動実績として、「動員数〇〇人!!」のように公表されます。
対してボカロP活動では、「ニコニコ動画で〇〇再生突破!!」のような実績です。



あとはボカコレランキング〇〇位!とか。
動員数ではなく「再生回数が実績になる」という点から、ボカロP活動はネット上で完結する音楽スタイルであることがわかります。
まとめ
以上、ボカロPの音楽クリエイターとしての特徴と活動スタイルについてでした。
従来の音楽活動と異なり、ボカロPはネット上で完結するという新しい活動スタイルです。
自分のペースで家にいながら音楽活動ができ、全国のクリエイターと交流・コラボができる環境は、現代ならではの大きな強みといえます。
「ボカロPとして活動してみたい」
このように思っている方は、ぜひ一緒にこの魅力的な世界を楽しみましょう!






