ボカロPとはボーカロイド等の合成音声ソフトを使用して楽曲を制作するクリエイターのことです。近年ではボカロPから有名アーティストとしてデビューする人も増え、ボカロPを目指す人も少なくありません。
この記事ではボカロPになるにはどのようなスキルや知識が必要かを5つのステップに分けて解説していきます。また、この記事ではボカロ=ボカロを含む合成音声ソフトを指します。
運営者情報
1102(ひとつ)
2022年8月「ヒトツノオト」でデビューしたギター歴10年以上のボカロP。
バンドサウンドを主軸とした楽曲を制作。
ニコニコ動画、YouTubeに楽曲動画配信中。
ボカロ Pとは?
ボカロPとはボーカロイドプロデューサーの略で、ボーカロイドの略称であるボカロにプロデューサーの頭文字であるPを付けた呼び方です。このPは、「アイドルをプロデュースするようにボーカロイドをプロデュースする創作活動」のような意味があるそうです。
とは言ってもボカロPの活動はボーカロイドをプロデュースするわけではなく、ボーカロイドを使用した楽曲を制作し発表する人の事を指します。
ボカロPの特徴については下記の記事で詳しく解説しています。
ボカロPになるための5ステップ
それではさっそくボカロPになるための5ステップを見ていきます。ここで言うボカロPはボカロを使用して楽曲を制作する人という意味であり、ボカロ楽曲の制作でお金を稼ぎ生活をするプロのことではありません。
ボカロを使用して楽曲を制作すれば立派なボカロPと言えます。ここから解説する5つのステップを最後までこなし、自信を持ってボカロPを名乗ってください。
もちろん頑張りしだいではボカロPを職業としてお金を稼ぐことも不可能ではないよ!
- ボカロの基礎を学ぶ
- 作曲の基礎・音楽理論を学ぶ
- 独自の音楽スタイルを見つける
- オリジナル曲を作る
- 作品を発表する
ここからは上記5つの内容を深掘りしていきます。
ボカロの基礎を学ぶ
ボカロPとして活動していく第一歩目は、ボカロの基礎を学ぶことです。元々ボカロが好き、興味があったという方の中にはボカロに関して学ぶ必要はないかもしれません。しかしそうでない方はどんなキャラクターがいて、どのように歌ってもらうか知っている方は少ないと思います。
僕もボカロに関しては無知だったから合成音声ソフトに種類があることも知らなかったし、キャラクターも初音ミクくらいしか知らなかったよ。
上記の画面は僕が使用しているVOCALOID6のエディタ画面です。このようにピアノロール上に音程と歌詞を入力し歌ってもらいます。ソフトによって画面デザインや使い勝手の違いはありますが、音程と歌詞を入力するという基本的な操作手順は同じです。また、VOCALOID6も含め、最近の合成音声ソフトはAIで自動的に人間っぽく歌って貰う機能が備わっていることが多いです。
ボカロPの第一歩としてどのようなソフトがあってどんな違いがあるのか、どのようなキャラクターがいてどのような歌い方の癖があるのか等知っていくと良いでしょう。ボカロキャラクターとソフトについて簡単に解説していきます。
ボカロキャラクター
まずボカロPとしてやっていく中で最も重要となるのが使用するキャラクター(音声ライブラリ)の選定です。ボカロ楽曲のメインはボカロなので、この選定によって楽曲の雰囲気が大きくかわります。そして何より使用するキャラクターには愛着が沸きます。
もちろん後から買い足していくことも可能ですが、音声ライブラリをたくさん買うとそれなりの出費になります。エディタから購入するとなると数万円単位でのお金が必要になります。
いろいろな人の楽曲を聴き「自分はこのキャラクターを使用して楽曲を作りたい!」と思える子に出逢ってください。2023年現在、ボカロ界隈でよく見かけるキャラクターは以下です。(データに基づいたものではなく完全に主観です)
- 初音ミク/VOCALOID
- 可不/CeVIO AI, Synthesizer V
- 重音テト/UTAU, Synthesizer V
- 小春六花/Synthesizer V
- ずんだもん/VOICEVOX, NEUTRINO
やはり初音ミクは不動の人気があるなと感じます。それに対抗するように可不が人気だとも感じます。僕がボカロPを始めた2022年6月あたりは初音ミクと可不がとても多かったですが、2023年後半あたりからはSynthesizer Vの人気が急激に上がってきたように感じます。
2023年4月にSynthesizer Vに重音テトのライブラリが発売されてからは重音テトを使用するボカロPがとても多くなったようにも感じます。2023年末にかけてSynthesizer VはMegpoid(GUMI)と可不のライブラリも発表しました。2024年は更にSynthesizer Vユーザーが増えるのではないでしょうか。
リスナー側としては「このキャラクターを使用しているからこの曲を聴いてみよう」という聴き方をすることも多いです。自分の好きなキャラクターを選定するのも良いですが、再生数を稼ぐために人気キャラクターを選定する戦略もありだと思います。
ただ人気キャラは競合が激しいです。大規模な投稿祭では人気キャラだから再生さやすいと同時に、同一キャラでの参加曲が多数あり埋もれる可能性が高いとも言えます。戦略的に人気キャラを使う場合は他にも再生されやすい戦略を考える必要があるかもしれません。
またネタ曲的な意味だとずんだもんが人気です。ずんだもんが歌っているだけで面白いです(笑)ただ稀にずんだもんを使用してとてもかっこいい楽曲を作っている人もいるので、いろいろな意味でポテンシャルの高いキャラクターだなと感じます。
ちなみに僕はVOCALOIDで初音ミク、IA、符色と一緒に曲を作っているよ。
合成音声ソフト
前項のボカロキャラクターについての解説と重複する点はありますが、主な合成音声ソフトは以下の通りです。
- VOCALOID
- CeVIO AI
- CeVIO Creative Studio
- Synthesizer V Studio
- NEUTRINO
- UTAU
これらのソフトはそれぞれ使用感が違ったり、歌い方の癖が違ったりします。また、CeVIO AIはWindowsでしか使用できないという制限もります。その他各公式サイトに推奨スペック等も記載されているので、使用したいエディタが自分の環境に合っているかどうかも選定のポイントとして重要です。
価格もソフト選びの際に考慮するポイントです。ソフトの価格も無料のものから数万円するものまであり、同様に音声ライブラリも無料のものから1万円以上するもの、サブスク形式のものもあります。ソフトは無料でライブラリが有料のものもあります。
ボカロPとして活動するには、キャラクター以上に使用するソフトの方が重要かもしれません。これによって作業性や楽曲クオリティが大きく変わってきます。使用するボカロPの好みの問題もあるので、一概にこれがお勧めとは言えません。無料お試し版があるものは一度使ってみてから購入することをお勧めします。
独自の音楽スタイルを見つける
ボカロ曲に限らず、音楽クリエイターとして活動する中で自分独自の音楽スタイルを確立させることが大切です。「この人の曲はこんな曲だよね!」という印象を与えることが成功への第一歩とも言えるでしょう。これはボカロPに限らず全ての音楽活動をする人に共通して言えることです。
ボカロ楽曲には音楽スタイル・ジャンルには決まりがなく、楽曲を制作するボカロPの趣味や好みで決まります。ポップスやロック等JPOP的な曲からEDM等エレクトロ的な曲、歌謡曲や演歌から激しいメタル曲まで幅広いジャンルの曲が投稿されています。
楽曲を制作する前に自分がどのような音楽スタイルで活動していきたいのかを決めましょう。音楽スタイルを選定することで、それに合った楽器の音作りの特徴等を分析しやすくなります。
いろいろなボカロPの曲を聴いてみて、自分の好みのジャンルを見つけてみてください。もしすでに音楽活動や楽器をしている方は得意なジャンルで攻めるのもありです。また、流行りの音楽やボカロ曲を聴いて流行の曲作りや音作りを取り入れることも有効です。
とは言えボカロP初心者が最初からブレない音楽スタイルを貫くことは難しいです。実際に楽曲を制作する中で、
・自分の好きなアーティストの音作りを真似してみる
・実験的なアプローチをしてみる
・異なるジャンルの音楽要素を組み合わせる
のように常に新しいことに挑戦しながら、自分独自の音楽スタイルを見つけましょう。
僕もまだまだ独自の音楽スタイルを模索中だよ。ギタリストということもあってバンドサウンドをメインにしているけど最近はEDM要素を取り入れようと挑戦中。
作曲の基礎・音楽理論を学ぶ
楽曲を制作するにあたって、音楽に関する基礎や理論が必要です。恐らく「ボカロPを始めたいけどどうしようか迷っている」という方の大多数はここで悩んでいるのではないでしょうか。
「音楽理論を知らない方がオリジナリティ溢れる曲が作れるから勉強しない」という考えの方も中にはいますが、僕はある程度の基礎や理論は学ぶべきだと考えています。何の知識も持たずにオリジナリティ溢れる楽曲が制作できるのは天才だけです。基礎を知らずに感覚で作るオリジナリティより、基礎を知りながらその基礎を壊したオリジナリティの方がクオリティは高くなるはずです。
とは言え勉強ばかりしていても面白くないと思うので、実際に楽曲を作りながら勉強していけばいいと思います。最初からハイクオリティの楽曲を作ろうとはせず、練習のための曲作りをしていきましょう。
例えば、
・Cメジャーキーの曲で使う音は白鍵のみ
・3コードだけで曲を作る
・楽器はピアノでコードを鳴らすだけ、ドラムはループ素材を使う
本当の音楽初心者は上記の意味もよくわからないかと思いますが、これさえ理解できるように勉強すれば曲は作れます。そこから徐々に発展した曲を作っていけば良いです。
また、「曲を作るには何かしら楽器が演奏できないといけないのでは?」と思っている方も多いようですが、楽曲制作に楽器が演奏できるできないは関係ありません。もちろん演奏できた方が有利な部分はありますが、できなくても全く問題ありません。
EDMとかだと楽器の知識すらなくてもすごくかっこいい楽曲を作っているボカロPもたくさんいるよ。
オリジナル曲を作る
ここまできたらついにオリジナル曲の制作です。自分の音楽スタイルで学んだ理論を使って曲を作り、自分の好きなボカロキャラクターに歌ってもらいましょう。
最近はボカロP初心者がハイクオリティな曲を作っていることも多々あります。同じ初心者なのに自分の曲はクオリティが低い...と感じるかもしれませんが、これにはしっかりとした理由があります。
ハイクオリティ楽曲を制作する初心者ボカロP
ハイクオリティな楽曲を作るボカロP初心者は、ボカロPが初心者なだけであって楽曲制作やDTMにはそれなりの経験がある方がほとんどです。バンドマンや歌手、DJやトラックメーカー(ビートメーカー)など音楽経験の種類は様々です。
そういう僕もDTMやボカロPとしては全くの初心者ですが、ギター・ベース・ドラムは演奏できますし、それなりの音楽知識もある状態で初心者ボカロPとして活動を始めました。音楽未経験者と比べるとそれなりに強い状態で始めたことにはなります。
また、既にボカロPとして活動していた経験がありながら、ボカロP初心者として別名義で活動する転生と呼ばれる手法?を使う人もいます。そうすることで強くてニューゲーム状態になることができ、ハイクオリティ楽曲を制作する初心者ボカロPが誕生します。
個人的には好きではありませんが、実際にそのような活動者も存在しています。他の初心者ボカロPのクオリティは気にせず自分のペースで活動してください。最初からハイクオリティな楽曲を作ろうとせず、まずは1曲完成させることを目標にしましょう。
楽曲制作の手順
人によって楽曲制作手順は様々ですが、僕は以下のような手順で作っています。
- ピアノでコード、適当なシンセでメロディを打ち込む
- ドラムでリズム・ビートを作る
- ベースを録音
- その他の楽器で編曲
- 作詞
- メロディに歌詞を合わせてボカロに歌ってもらう
- ミックス・マスタリング
1と2、5と6は同時進行で進めることが多いです。メロディとコードに関しては先にメロディを作り、それに合ったコード進行を付けるというのがセオリーです。が、僕はどうしてもそれが苦手で先にコード進行を作り、後からメロディをつけています。
これは多分僕自身がギタリストということもあり曲の雰囲気やコード感を重視したいのだと思います。唯一メロディから作った曲が「いろんな雑学」という曲です。見ての通りのネタ曲ですが、サビの「ねぇ知ってる?これ知ってる?」という部分が急に頭に流れてきてそこから作りました。
とは言えサビ以外はコード進行から作ったので、威張って「メロディから作りました!」と言える曲ではありませんが(笑)
コード進行を先に作ってしまうとどうしてもありきたりなコード進行になってしまいがちです。また、それに合ったメロディを作る必要が出てくるため、メロディ作りにも制限がでてきてしまいます。
メロディを作ってからコード進行をつけることでありきたりなコード進行になることを避けることができ、面白いメロディを自由に作ることができます。難易度は上がると思いますが、余裕があればメロディから考える作曲方法を行ってみてください。
今はコード進行から作ってるけど僕もいつかはメロディから曲が作れるようになりたいなって思ってるよ。
作品を発表する
楽曲が制作できたらいよいよ作品の発表=楽曲投稿です。ここまでくれば立派なボカロPです。
楽曲を投稿する方法として主に以下のようなものがあります。
- サブスク配信/楽曲のみ
- Sound Cloudに投稿/楽曲のみ
- ニコニコ動画に投稿/動画
- YouTubeに投稿/動画
欲を言えば上記全て行いましょう。聴いてもらえる場は多いに越したことはありません。しかしこの中で、ニコニコ動画とYouTubeに投稿する場合は動画(MV)も作る必要があります。
動画は自分で作るか依頼するという手もあります。どちらにしても手間なので、「動画は辞めてサブスク配信とSound Cloudに楽曲のみ投稿しよう」という考えに至ることもあるかもしれません。ですがリスナーとしてはYouTubeやニコニコ動画のように無料で見れる使い慣れたアプリから見たい(聴きたい)という考えの人が多いため、楽曲配信だけでなく動画投稿もすることをお勧めします。
サブスク配信は金額が発生するので、聴いてもらえない可能性が高いですし、Sound Cloudは海外の利用者も多く当たれば大きいですが、利用者数はYouTubeには敵いません。
世間的にはニコニコ動画よりYouTubeの方が利用者が多いですが、ボカロ界隈としてはニコニコ動画の利用者が多いです。ニコニコユーザーの中には新しい新人ボカロPを発掘しようとしている方もいるので、投稿すれば100再生辺りは狙えます。YouTubeは1桁再生止まりということもザラにあるので、初心者のうちはニコニコ動画には必ず投稿するべきです。
全く再生されなかったり感想も全く貰えないとモチベーションも上がらないからね...。
「動画編集は大変だし依頼するお金もない」という方はPiaproというサイトでイラストを借りることができます。最初はそれに歌詞を載せるだけの簡単の動画で良いのでぜひ作って投稿してみてください。(イラストによっては利用規約があったりクレジット表記は必須だったりするので、規約はしっかりと読みましょう)
まとめ
以上ボカロPになるための5つのステップでした。ボカロPに限らずですが、まずは基礎をしっかりと学ぶことが大切です。そしてインプットするだけでなく、オリジナル曲を作りどんどん投稿していきましょう。
また、活動する中で他のボカロPと交流することでさまざまな刺激を受けることができます。僕自身も仲の良いボカロPの方たちと交流しながら活動することで、モチベーションを保ちながら楽しく活動できています。
もしボカロPとして活動したい、もしくはしているけど他のボカロPになんとなく絡みづらい」みたいな思いがあれば僕のXのアカウントにリプを送ってみてください。ブログでは固そうな印象があるかもしれませんが、Xではかなりふざけてますので楽しくお話ししましょう!笑
最後に一番大切なことが継続して活動することです。ボカロPになるためにボカロソフトを買ったけど投稿するまでいかなかったという方が多いとはよく聞きますし、僕も活動していく中で実際に何人か見てきました。
この5つのステップはあくまで一例です。基礎を勉強するのが疲れたら何も考えずに曲を作ってみる等、自分に合ったペース・方法で継続して活動していきましょう。ぜひボカロPデビューを目指し、一緒に楽しみながら頑張っていきましょう!
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